先日、ある病院の口腔外科の先生から紹介状をもらって、小学校2年生の女の子が当医院に来院されました。CT撮影してもらい診断で、上顎右乳臼歯E埋伏、そのため右上6番近心傾斜していることが分かったそうです。お口の中を診てみると、確かに乳臼歯が1本なく右上6番が、かなり近心傾斜していました。もちろん埋伏歯Eに相当する5番はかなり上顎洞近くの低位にいます。私自身、乳臼歯の埋伏歯は初めて診させてもらいました。小児歯科専門の先生だったら、結構こういう症例は見ているんじゃないかと思って聞いたところ、その先生も、経験はないって言われました。ただ、「乳歯列のときにEを出して置けばよかったに。。」と。
文献1)によると、乳歯の萌出障害は永久歯に比べて少なく、新潟大学小児歯科で1979年から2002年までに扱った748歯のうち26歯(3.5%)しかなく、上下顎それぞれ13歯ずつで、上下ともにEが多いそうです。そして、その原因は、形成期に何らかの異常があったと考えられるが、原因は、はっきりしないそうです。
1)Noda T.et al:Eruption disturbunces in Japanese children and adolescents. Ped Dent J, 16:50-56 2006.