矯正治療は、自費治療です。 施術している先生が、責任を持たなければなりません。万が一、治療後、安定せずに後戻りした場合であっても、再治療を含めて責任を持つのが当然です。私も、卒業後、そのような矯正患者さんに対する姿勢、倫理観の教育を受けてきました。
昨日、「上越市から新潟県中越地方に矯正治療に通っている女性が、矯正装置が壊れたので診てくださいということ」で予約が入りました。矯正治療は、自費治療です。基本的に健康保険治療ではないの他の医院で治療している矯正装置を処置することはありえません。ブラケット(歯につける金属の装置)が外れているのを取ってくれということで、スタッフができる処置だったので、しょうがなく診ることになりました。
診療室に入るやいなや、本当にびっくりしました。とても矯正治療をしているようには思えない口元でした。大学病院にいた頃に、東京で無理やり歯を抜かずに治療をして、口元が鳥のくちばしようになってしまった患者さんの再治療を今でも鮮明に覚えていますが、以上に上下顎前歯が前に出ていました。昨日患者さんとは、詳しくは話をしませんでしたが、口の中を診て、聞いてみると、2期治療(全顎矯正)みたいです。
・治療して2年半経つそうです。(それなのに前歯のでこぼこが残っている)
・なぜ、上越市からそんな遠くに通っているんだろうか?(抜かずに矯正できますのホームページをみて?)
・あまりにも歯列が拡大しすぎていて、歯が、歯ぐきからはみ出した状態になって、歯肉退縮を起こしてた。
・このまま治療しても、上下顎前歯のかみ合わせは、開いたままだと思う。
・おそらく患者さんは、結構、治療費を払っている。
診断時に第一選択は、抜歯矯正です。ただ、多少の上下口唇の突出しますけど非抜歯でできない治療ではありません。と、第二選択として、患者さんの同意を得て、非抜歯矯正するはありますが、この患者さんの場合限度を超えています。j過度のの口唇閉鎖不全を認めます。「治っていません。診断が間違ってます。信頼できる専門医か大学病院で診てもらったほうがいいです。」と、喉の近くまで出かかったのですが、スタッフに止められたのと、自分自身も忙しかったのでそのまま、帰ってもらいました。
私は、前医や他の先生の批判は、絶対しません。スタッフもしません。しかし、この患者さんは、明らかにかわいそうです。こんな矯正治療が、あっていいのでしょうか?
この患者さんは、治らないのにまた、遠いところに矯正治療に通うのかと思うと本当に、患者さんが不憫でなりません。私も一応、矯正専門の教育を受けた矯正歯科医です。今度、再度来院されたら、患者さんのために、はっきり言おうと思います。「医療過誤」に近いものがあります。そして、患者さんが、私の言葉に納得しないのであれば、私の先輩である大手町にある原先生(原矯正歯科院長/矯正歯科専門医)のところか、お世話になった新潟大学病院矯正歯科学分野の教授に紹介しようと思います。