初診:9歳の男の子です。
ちょうど永久前歯が上下4本そろいました。この状態で、下の前歯が上よの前歯より出ていて、咬み合わせが逆です。乳歯の状態から、永久歯の前歯の生え変わりが始まるのは、5~7歳頃です。
その頃に「前歯が1本生え変わったのですが、曲がって生えています。どうしたらいいでしょう??」と質問を受けることが多くあります。でも、写真のように上下4本生え変わって見なければ、なんともいえません。理由は、
1.その間、歯並びは、変わります。
2.まだ、永久歯の前歯がそろっていないので、どんな状態の不正咬合なのか判断が難しい
3.矯正装置をつける期間をなるべく短縮したい。
そのほかに理由は、たくさんありますが、
1については、例えば、上の前歯1番目の歯2本に多少隙間が合っても、その横にある2番の歯が生えてくるときに、押されて前歯の隙間が閉じる場合があります。
2については、将来的に永久歯の全部生え変わるのですが、その将来に、今一期治療することで、どのくらいメリットがあるかどうか判断出来るのが、前歯4本が生えそろった時期だからです。
3.的確な診断がなく、不用意に長期間、歯を動かすことは、歯に負担がかかります。また、装置が長期間入っていると口の中が不潔になりやすく虫歯になりやすくなります。
(治療途中です。)1ヶ月に1回、通ってもらいます。この患者さんは、1年4カ月(16回)通ってもらいました。
一期治療終了:10歳です。前歯4本の咬み合わせを改善し、装置を除去しました。下顎の骨は、長官骨といって背骨の骨と同じ種類です。身長がグーンと伸びる時期に下顎骨もグーンと前に出る可能性があります。今後、思春期の最大成長期をむかえます。後もどりに注意しながら様子を見ていきます。