写真は、うちの年中の次男です。この春から年長になります。見て分かる方は、分かると思いますが、咬み合わせが反対です。いわゆる「反対咬合」「受け口」「下顎前突」とも呼ばれます。まだ永久歯は生えていません。
この乳歯の時期に、矯正治療を行う先生がいます。それはそれで、間違いではありませんが、乳歯と永久歯はまったく別ものです。乳歯の咬み合わせが治っても永久歯の咬み合わせが治るとは限りません。論文だと、乳歯の反対咬合の半分は自然治癒します。家族の方や、かかりつけの歯科の先生は、早めに治療してあげたいという気持ちは、十分に分かります。「乳歯のうちから治療を!」
でも、矯正の専門医は、やりません。まだ、乳歯で永久歯がどうなるか分からないからです。種から芽が出て花が咲きますが。まだ、乳歯列は、芽が出た状態です。どんな不正咬合になるのか予測がつかない空です。
これから乳歯前歯4本が抜けて、永久歯の前歯4本が生え変わります。矯正の専門医は、この永久歯前歯が4本生え変わるまで(2年生頃まで)様子を見ます。この時が、一番いいタイミングです。そして、家族と患者さんの希望があれば、精密検査し治療が有効かどうかを判断します。この時期の治療を一期治療(早期治療)といいます。
もちろん、うちの次男もこの永久歯前歯4本が生えるまで様子をみます。乳歯列が反対咬合だから、急いで治療しなければという気持ちは十分に分かります。でも私は、専門医なので、急いで治療なんて考えていません。早期に行う矯正治療は、実は、あまり意味がないという長期研究の結果について知っているからです。何でもかんでも早く「矯正治療」というのは間違えです。いいタイミングで、と思っています。
新潟県上越市 かるがも矯正歯科 院長 新部洋史