最近、本当に頻繁に質問をうけます。矯正の専門医の先生の意見を聞きたいというのです。
「一部の不正咬合は、予防できます。」というのが正確な答えだと思います。それは、爪咬み、指しゃぶり、舌などの口の周りの癖が原因と考えられる場合です。
放っておくと、
開咬 :正面から見たときに上と下の前歯が、重なっておらず、開いている状態
上顎前突:上の前歯が、下の前歯に比べ、過度に突出している状態
正中離開:上の2本の前歯の真ん中が、開いている状態
になります。特に指しゃぶりは、4歳までは生理的なものと考えられますが、4歳以降続くと歯を支えている歯槽骨に変形が起きるといわれています。
この予防についての考えについては、どの歯科医も基本的には同じ考えだと思います。そして、もちろん当医院でもこの指導を行っています。
しかしながら、「硬いものを咬んだほうがいい。」「右左両方咬んだほうがいい。」「唇をしっかり閉じたほうがいい。」、、、そういった、生活習慣を直すと「顎が大きくなるとか。」「歯のでこぼこがなくなる」というのは言いすぎです。それは、「そういうことを気をつけたほうが、気をつけないよりもいいですよ。」くらいのことです。
日本人の顎は、実際は、昔に比べて小さくなっていないことが明らかになってきています。
最近では、N大学の矯正学教室の研究、論文があります。身長が低い人を高く出来ないように、顎の小さい人を大きくすることは出来ません。ただ、思春期頃に顎が成長で大きくなるのは間違いないようです。そして、その論文は、その時期にガム(モリタ)を咬むと第一大臼歯の歯軸の距離が広がるという内容です。
当医院でもこのガムを使っています。咬んでもらうのですが、「咬んだからといって、顎が大きくなるわけではないです。」「そういうことを気をつけたほうが、気をつけないよりもいいですよ。」をお母さんに理解していただいて、衛生士が中心になって指導をしています。
一般歯科医のなかに、患者さんのお母さんに、「これくらいなら顎広げれるよ。」って軽々しくいう先生がいます。正確に言うと、土台の顎ではなくて、土台の骨の上にある歯を支える骨が広がっているだけです。(ちなみに、それの歯を支える骨を外れると、歯肉退縮や、出っ歯、鋏状咬合になります。)
新潟県上越市 かるがも矯正歯科 院長 新部 洋史