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1995年から学校歯科健診において歯列・咬合の健診項目が追加されました。
学校歯科健診における歯列・咬合の診査基準が設定されるされるにあたっては、すべての不正咬合を指摘するのではなく、将来の咀嚼機能などに影響を及ぼすような不正咬合についてスクリーニングするようになりました。歯並びや咬み合わせの異常は、受け口(反対咬合)、出っ歯(上顎前突)、開咬、乱ぐい歯(叢生)、すきっ歯(空隙歯列)などを目安に判定されます。
一方、残念ながら日本における矯正歯科治療は、ごく一部の特殊な疾患による不正咬合を除いて、ほとんどの矯正歯科治療が保険の対象にならず自費治療となっています。
日本では制度上は保険で治療出来ない異常を学校歯科健診の項目にあるからといって全ての不正咬合を指摘することは保護者に対して混乱を起こすことになりかねません。
その結果、学校歯科健診の現場では比較的重度な不正咬合が抽出され、指摘を受けることになります。
健診の目的は「心身の健康に影響を及ぼす可能性のある不正咬合をスクリーニングすること」です。
不正咬合の欄に○がついていたからといって、必ずしも矯正歯科治療しなければならないわけではありません。
不正咬合の矯正歯科治療をされるか否かを決めるのはご本人とその保護者であるご両親です。
決定される上ではいろいろな情報を得る必要がありますので、学校歯科健診で歯列・咬合に関して指摘を受けたこの機会に矯正歯科医院を受診されご相談され、現状と今後の歯列咬合の変化に関する予測や問題点などの説明を受けるのがよいでしょう。また、矯正歯科医院とまではいかなくても、通い慣れているかかりつけの歯科医の先生がいる場合は、その先生に相談するのよいと思います。
その上で、矯正歯科治療による改善をご検討されてはいかがでしょうか?
新潟県上越市 かるがも矯正歯科 院長 新部洋史