日曜日は、新潟に行ってきました。新潟大学矯正歯科医局の現役、OBの先生の集まりです。
そこでのセミナーで聴いてきたことを思い出そうと思います。
1.歯学部卒業から矯正歯科医になるまで
矯正歯科医は、顎顔面の成長を扱うので、1人の患者さんを長期に診て行かなければなりません。医療の中で一番、時間のかかる医療だと思います。少なくとも7歳ころの子を治療して、思春期の成長を迎え、15歳くらいまで診なくてはいけないのです。
そこで、問題となるのは、新人の先生が、矯正歯科医になるまで、時間がかかるということです。さらに、そういう症例がないとダメです。歯医者さんが増えて、大学の矯正患者さんが減少する中、それでも新潟大学では、6-7年を目標としているみたいです。一人前の矯正医を作るのも大変なのです。
2.機能(呼吸、咀嚼)と形態(歯並び、咬み合せ、歯科医が作り出す咬み合せ)
われわれ歯科医の仕事は、基本的には、形態を変える仕事です。機能は、患者さんが生まれてから覚えることで、それが、調和すれば理想なのですが、、、なかなか装は行きません。そして、形態を最高の状態にするのが、われわれ矯正歯科医の責任です。
そして、それに伴う機能については、昔も今も分からないままです。今回、臨床経験の長い矯正の先生たちが、舌、咀嚼、呼吸について、すなわち機能について、論文や図を交えて、自分の考えを話されていました。
今回は、その機能についての話を聞いたのですが、大変興味深かったです。この口腔周囲の機能についての話について、書きたいことは、色々ありますが、特に興味を持ったのは、
・手や足の運動機能と同じで、舌の運動や咀嚼についても、練習すれば、出来るようになる
・よーく調べてみると2歳半と3歳では、全く機能獲得が、違う。(3歳以上は、正しい咀嚼、舌の運動を教えようとしても難しい。)
・咬むことは歩くリズムに近い。平均すると1食で1500回くらい咬んでいる。
・呼吸は、咀嚼(咬むこと)と密接に関係する。
・矯正歯科医がある年長の子供たちを検診したら、そのおよそ3/4が、矯正治療をしたほうが良いほどの不正咬合だった、そして、その子供たちを高校生になってから、再度調べたら、矯正治療したほうがいいと思われる子は、およそ3/4だったそうです。←すなわち、幼少期の、不正咬合は、高校生になっても、よくも悪くもなっていない。さらに、1945年以前に生まれた人を、矯正歯科医がみたら、矯正治療をしたほうが良いほどの不正咬合だった人は、約1/4だったそうです。
矯正歯科医は、形態を治すのが精一杯です。でも、その前に、不正咬合を予防できればいいのです。矯正歯科以外の一般歯科小児歯科の先生が、歯並びのでこぼこの予防に「よく咬みなさい。」とか、「口呼吸を鼻呼吸に変えなさい。」、「口をよく閉じなさい。」「舌の練習をしましょう。」と患者さんに指導、教育することは、よくあることです。でも、それに対して、ホントに予防なんて出来るのか?歯並びを治せない先生がそんなこと患者に教育したって説得力ない。まあ、でも生活習慣として何もしないよりはいのではないか?くらいに思っている矯正歯科医は多いはずです。
でも、今回は、形態を治せる経験豊富なOBの機能に関する矯正歯科医の考え方に触れることができました。
新潟県上越市 かるがも矯正歯科 新部洋洋史