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矯正治療に伴う抜歯について

よく質問をうける話を書きます。
Dr.          :~さんの矯正治療には抜歯が必要です。
患者さんのお母さん:12歳臼歯が生えてくるときに顎が広がり抜歯は必要なくなることはありますか??

2010年6月号のJOP矯正歯科臨床の誌上で、広島大学の先生たちが、特別寄稿した論文があります。
テーマは、
「2010矯正歯科治療に伴う抜歯・非抜歯論争を考える」
~Dr.Angle没後80年間の亡霊からの脱却~

です。(ちなみにDr.Angleとは、近代矯正学の父といわれる人です。)いくつか、引用させていただきます。

1.矯正治療(アメリカ)
現在主流の矯正治療は、エッジワイズ法が基本になっている。症例によっては、抜歯矯正も必要である。

2.生理的な自然移動・咬合育成(ヨーロッパを中心とした床矯正治療)
1936年オーストリア在住のシュワルツが考案した床矯正に始まるが、「歯列弓を拡大して歯を配列するのではなく」「叢生(でこぼこ)の歯を移動することで拡大する。」さらに、元来、床矯正は非抜歯矯正治療を目的にしていない。床矯正終了患者のほとんどが、審美的改善の為に抜歯適応症となっている現実を踏まえて、矯正治療の定義と目標にない手段の一つである「非抜歯」を目標に掲げないことが最も重要である。

最後に
「矯正の専門医は、抜歯が必要ですと診断し、患者さんがそれを拒んだら、そのことについてを説得し十分に説明する義務があると。それで、患者さんが治療を希望しなければ、治療してはいけない。そして、そういう症例を非抜歯で治療を行うことは、大問題である。」という趣旨のことが書かれていました。

 

ちなみに「叢生(でこぼこ)の歯を移動することで拡大する」←歯が動くとその周りの歯槽骨も骨芽細胞という骨添加の細胞のおかげで、骨が増えるのです。それは、土台の骨を広げるのとは違います。あくまでも限定的に歯の周りの骨が増えるだけです。 

抜歯が必要な症例を、無理やり並べると、口元が閉じにくくなります。歯の周り特に頬側の歯槽骨がなくなります。

新潟県上越市 かるがも矯正歯科 院長 新部洋史


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